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【第11回/全16回 文字数:954字】

回転、上下動、方向転換:宇宙飛行士のトレーニングツール

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クロウリーらが作り上げたその他のセットに、月面着陸訓練機(LLTV)とマルチアクシス(複数軸)トレーナーがある。クロウリーは説明する。「LLTVは現代では決して使用しないマシンだ。月着陸船を着地させるのが自分の役目だと知ったニールにとって、唯一の訓練方法はこの装置に乗ることだった。そして訓練中に事故が起こり、彼はクラッシュ寸前で何とか脱出した。そんな目に遭いながらも、ニールは何度もトライするんだ。他に訓練方法が無かったからね」

NASAのサポートとアーカイブ写真で、製作チームはLLTVとマルチアクシストレーナーを復元することができた。ヒューストンで本物のLLTVを観察することができたため、正確に再現することができたのだ。
「マルチアクシストレーナーを作ると聞いた時、非常に困難な挑戦になるだろうと思った。誰にでも作れる物じゃない」と視覚効果監修のJD・シュウォームは明言する。
マーキュリー計画以降はマルチアクシストレーナーの使用が中止となったが、当時の宇宙飛行士たちがいかに過酷な訓練を受けていたかを表現すべく、本作に登場させることになった。シュウォームは言う。「1960年代以降は作られていないすごく複雑な装置で、誰も使い方を知らないような代物なんだ。写真からリバースエンジニアリング(逆行分析)を実行して作り上げた。最大の難関の1つだったけど、一番楽しい部分でもあったよ」
マルチアクシストレーナーは、宇宙飛行士が宇宙空間で制御不能な状態で回転し続ける状態をシミュレーションしてデザインされた装置である。そのため、この装置では3つの軸である回転、上下動、方向転換が同時に行われる。操作方法について、シュウォームは次のように説明する。「頭にサンバイザーのようなものを着けるから、宇宙飛行士は方向感覚を失うし自分がどこにいるか分からなくなる。それから装置が作動し、飛行士は3つの軸による回転から逃れようとしなければならない。回転から逃れる方法を身につければ、宇宙で回転し続けた時に冷静に対処してコントロールを取り戻すことができると考えられたんだ」

その後、マルチアクシストレーナーは複数の理由から使用中止となる。その1つが、重力のある地球で回転を経験しても、このトレーニングが役立つとは考えられていなかった。