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【第13回/全16回 文字数:2326字】

アポロ計画:ジェミニ・ミッション後の生活

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アポロ計画の目的は、1961年5月25日にジョン・F・ケネディ大統領が国家目標として掲げた、人間による月面着陸と地球への帰還を実現することだった。アポロ11号に搭乗した3人の飛行士が月面着陸から地球への帰還を成し遂げるまでにかかった時間は、8日と3時間18分35秒。1969年7月20日、彼らは歴史を変えた。

アポロ計画の宇宙飛行士たち
 ジェミニ計画の宇宙飛行士の全員が、月での科学調査を実行し宇宙空間でのアメリカの優位性を示すためのミッション、アポロ計画へとそのまま移行した。まず、ガス・グリソム(ウィガム)、エド・ホワイト(クラーク)、ロジャー・チャフィー(コーリー・マイケル・スミス)の3名がアポロ1号に搭乗。しかし1967年1月27日、それまでの宇宙飛行ミッションでも最悪の悲劇的事故が起こる。ケープ・カナベラルでの打ち上げ予行練習中にアポロ司令船(コマンドモジュール)内で火災が発生し、グリソム、ホワイト、チャフィーが犠牲になってしまったのだ。同年2月に予定されていたアポロ計画最初の有人宇宙飛行計画を遂行するための訓練中の事故だった。

ケネディ宇宙センターを訪れたキャスト陣は、アポロ1号の発射台も見学した。この時の経験が、作品の中で最も悲痛ともいえるシーンの撮影の糧となったようだ。クラークは振り返る。「とにかく気分が沈んだ。NASAのスタッフと、ボニー・ホワイトとエド・ホワイト・ジュニアが貴重な経験を共有してくれた。現地を見学した時に案内してくれた男性は、実際にセンターに勤務していた元スタッフで、当時の思い出を語ってくれ、NASAが全面的に協力してくれたことに感謝しているよ」

 人類初の月面着陸というミッションに乗り出したアポロ11号の飛行士は、ニール・アームストロング船長、マイケル・コリンズ司令船操縦士、エドウィン・“バズ”・オルドリン月着陸船操縦士の3名だった。コリンズ役とオルドリン役のキャスティングにおいても、製作陣は演技力と実在の人物との類似性を重視した。
 「コリー・ストールは素晴らしい俳優だ。それにバズに似ている」とゴッドフリーは笑う。「バズには短気なところがあって、それが人の神経を逆なでするが、彼は普通の枠には収まらない桁違いにユニークな人物というだけなんだ。そしてすごく頭がいい。ニールはバズの資質を見抜き、アポロ11号に同乗する仲間として最適だと判断する。コリーにも鋭い知性とちょっと悪そうな要素があって、彼をどう判断していいか分からなくなる。まさにバズ役にぴったりだったよ。バズの存在によって観客の不意を突くことが私たちの意図だったからね。バズが登場するまで、登場する宇宙飛行士たちは冷静で落ち着いたタイプばかりだった。そこに個性の強い彼がパワー全開で現れ、均衡を崩す。コリーにもその辺りを存分に表現してもらった」

 司令船操縦士として重要な役割を果たしたマイク・コリンズ役には、ルーカス・ハースが起用された。今回のような役を演じる機会は滅多にないとハースは語る。「宇宙旅行は魅力的な題材だし、本作に関わることができて光栄に思うよ。この出演がきっかけで新しいヒーロー像が持てたし、この世界における人間性についても新しい側面に気づくことができた」
 コリンズの自伝「Carrying the Fire: An Astronaut’s Journeys」を読んで感銘を受けたハースは、本人に連絡することを決意する。「彼の本をすごく気に入ったから、手紙を書くことにしたんだ。自伝を通じて彼の体験を学べたのは感動的だった。電話をしたり直接会いに行ったりするよりも、手紙で気持ちを伝えた方がいいと思った。マイクはすごく愉快な人で、『ミッキー・ルーニーに自分の役を演じて欲しかった』と返事に書いてあったよ」とハースは笑う。
 フロリダ州ケネディ宇宙センターでの撮影最終日にコリンズ本人が現場を訪れるという予想外の状況に、ハースは驚いた。バズ・オルドリンと共にセットに登場したコリンズは撮影を見学し、ハースと対面した。「手紙の内容と同じくらい、実際のマイクも面白くて感じのいい人だったよ。撮影最終日に彼と会えたことは、僕の人生において最も感慨深い瞬間だった」とハースは言う。

宇宙飛行士たちの指揮官
アームストロングをはじめとする勇敢な宇宙飛行士たちの指揮官は、カイル・チャンドラー演じるディーク・スレイトンとキアラン・ハインズ演じるボブ・ギルルースである。チャンドラーは説明する。「ボブは宇宙センターの初代責任者で、ディークを監督する上司だ。一方、ディークの仕事はミッションの候補者を選抜して、スキルに応じて交代させること。決定権はボブにあるから、ディークは従うしかない。キアランはまさに適任で、最高の共演者だったよ」

上官を演じる上で威厳が重要だという点で、ゴッドフリーはこう語る。「カイルには父親と指導者としての威厳がある。それに、必要に応じて罰を与えるような雰囲気もある。宇宙飛行士たちをまとめるには、権威と成熟という意味において一段、格が上である男が必要だ。カイルには、襟をきちんと正した完璧な身だしなみをした当時の男性のようなオーラがある。キアランにも、どこか逆らえないような同じ資質があって、有無を言わせない雰囲気だけど、独裁主義者ではない」
ミッションに対する許可が下りた際、実行における責任者はスレイトンとギルルースだった。多くの命が彼らの手に委ねられたのだ。宇宙飛行士が生還しない可能性は常に伴うため、ホワイトハウスの声明文を読み上げる時に2人が感じるストレスは想像を絶するものだった。スレイトンとギルルースは重すぎる責任を負っていたのだ。