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【第2回/全16回 文字数:1620字】

宇宙飛行士の妻たち:クレア・フォイの起用

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本作には、クレア・フォイ演じるジャネット・アームストロング、オリヴィア・ハミルトン演じるパット・ホワイト、クリス・スワンバーグ演じるマリリン・シーといった宇宙飛行士の妻たちが登場する。役作りに際して、フォイもやはりハンセンの助言を求めた。「ジェイムズがジャネットにインタビューした時の録音テープを貸してくれたの。当時の彼女は宇宙計画を宣伝して夫を支えた。他の宇宙飛行士の妻たちと同じく、NASAのスポークスパーソンのような存在だったわ」

ジャネットは2018年6月21日に84 歳でこの世を去っている。悪天候のためジャネットはアトランタの撮影現場を訪れることができず、残念ながらフォイは彼女との面会を果たせなかったが、ジャネットの動じない強さに感銘を受けたと言う。「当時ジャネットたちは極度のストレスにさらされていて、感情的にならざるを得なかったから、彼女の発言は常に少し辛口なの。ジャネットをはじめ、宇宙飛行士の妻たちは、歴史を作った陰の立役者よ。でも彼女たちにスポットが当たることはなかった」

「オファーを受けたのは、これは驚異的なことを成し遂げた人物に関する物語だと思ったから。すごく静かな物語に限って、一番説得力があったりする。ニール・アームストロングというひとりの人間、そしてあの歴史的偉業が何を意味するかを描いた物語よ。彼らが人類の発展のためになぜ自分の命を危険にさらしたかを描いた作品でもある。過去50年の間に聞かされてきた話をただ伝えるのではなく、当時そのミッションの中心にいた人物に焦点を当てるのは価値があることだと思う。この映画では当時を振り返り、関係者たちが払ってきた犠牲を描いているの」

チャゼル作品初出演となるフォイは、監督のフォーカスの鋭さに敬意を表している。「デイミアンは自分が目指す方向性を明確に理解していて、皆を鼓舞するのが上手。現場にいる全員が『自分も作品に貢献している』という気持ちになる。自分の思うように演じる自由を与えてくれるし、違ったアプローチを試してみることも勧めてくれた。自分が思い描いたビジョンに到達するまで、とにかく突き進む人よ」

夫のミッション遂行を支えながら家族の面倒を見るという、ニールよりもある意味辛い役割を担っていたジャネットだが、チャゼルはフォイがいとも簡単にこの難役を体現していたと賛辞を贈る。「クレアの演技を初めて見たのは『ザ・クラウン』だった。今回は国や時代、キャラクターの性格も180 度正反対の役だ。でもクレアは見事に役に成りきった。アームストロング一家を知る人がセットを訪れると、一瞬驚いて固まっていたよ。『あそこにジャネットがいる』ってね」

共演者であるゴズリングもフォイの才能に感銘を受けていた。「アームストロング夫妻は公の場ではアメリカの理想の家族像を維持していたけど、クレアは共演シーンについて何か提案したりすることはなかった。まるで、ジャネットとニールの家庭での力関係を体現するかのようにね。彼女はアームストロング夫妻のような特異な夫婦生活を表現する上で常に新しい方法を模索していた。2人の関係は想像するだけでも難しいのに、感情移入して演じるのはさらに困難なことだ」とゴズリングは語る。

パット・ホワイト役を演じるにあたって、ハミルトンは家族から話を聞けたことが大きな助けになったという。「役作りの中で一番効果的だったのは、ダラスでパットの娘であるボニー・ホワイトに会ったこと。息子のエディー・ジュニアからも話を聞けたわ。このインタビューから多くを学んだし、ボニーに会えただけでも大きな意味があったわ。アームストロングやホワイトたちがNASAで訓練を受けている間、家族たちがいかに強い絆で結ばれていたかを表現することが重要だった。多くの人がニールは近寄り難くて自閉的な人だと言うけど、友人や家族にとっては楽しい人だった。そういうつながりや温かさもこの作品で描いているの」